しこりや乳房の痛み、乳腺炎かもしれない時の対処法

3人の子を母乳育児で育てていると、乳腺炎になることだってありました。病院で切開するほどの乳腺炎を経験する人は稀ですが、軽い重いの差こそありますが、乳腺炎になるのは母乳で育てていればかなりの人が経験するらしく、わたしのまわりでもけっこう多いです。

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乳腺炎になりやすい時期と症状

乳腺炎になる時期は最初の1ヶ月や2ヶ月の時に経験した、という人もいますし、もっと赤ちゃんが大きくなってからという人もいます。生後半年とか、もっと遅くに初めて乳腺炎になってびっくりした、という人もいます。最初の3ヶ月ぐらいと、離乳食をはじめて授乳間隔が開いてくる頃、生後10ヶ月を過ぎて授乳回数自体が減ってくる頃などがわたしの場合は母乳の供給が過多になりやすく危険だと感じました。最初の数ヶ月でならなかったからといって、自分は乳腺炎にならないと油断しないようにしましょう。

乳腺炎になったときの自覚症状

乳腺炎になると、乳房に痛みを感じます。母乳の生産が過剰気味だと、3時間以上授乳間隔が開いてしまうと両方の乳房が石のようにカチカチになってしまっていることがあると思います。

そういう時は、おっぱい全体が痛いのですが、この状態では乳腺炎ではありません。両方のおっぱいから赤ちゃんにしっかり飲んでもらえばふわふわのおっぱいの戻ると思います。そうでなくて、硬い部分が残ってしまうようなら要注意。

全体的に硬さが残るようなら、手で残っている母乳を軽く搾るとよいです。絞る量や時間ではなく、わたしはおっぱいがやわらかくなるところまでを目安に絞っていました。次の回から授乳間隔と授乳のポジションに気をつけます。

乳腺炎のはじまりは、乳房をさわるとしこりができています。わたしは乳首と脇のラインの中間ぐらいにできることが多かったです。でもしこりは上側とか、谷間側にできたこともあります。丸くではなく、乳腺が詰まって膨らんで細長いミミズ状態につまりを感じたこともあります。

刺すような痛みを感じることもあるし、じーんとしびれるような痛みのときもあります。歩いていると痛みがずきずきと広い範囲に響いたり、痛みで腕が上げられなくなることもあります。

特に初めての時は乳腺炎の初期症状に気が付きにくいので、知らずにそのまま放置して悪化させてしまうことが多いのではないかと思います。ほんの3時間ぐらいで状態はどんどん悪化します。その段階をしらないと、あっという間に悪化して高熱が出た、ということになりますが、最初の異常が出た段階で、直ちにできるかぎりの対処を始めれば、普通はそれほど長引きません。

わたしも最初は悪化させて高熱が出て大変でしたが、その時点で助産師さんに相談して自分で対処するという方法で乗り切り、その後も毎回自分の対処だけで乗り切ることができました。あくまでも素人の自己対策なのですが、その方法をご紹介します。

おっぱいがおかしいと感じた時のおっぱい以外の対処方法

乳腺炎かもしれない、と自覚したときから直ちに対策を始めることはその後の経過に大きく影響します。まずは体の出しているアラームをしっかりと受け止めて、真剣に対処するのが大事です。

なるべく疲れを取って体を休める

赤ちゃんの世話をしていると、どうしても無理をしがちです。夜中も何度も起きることが多いし、風邪や下痢などで自分の体調が悪いときでも母乳育児をやっている間は授乳をやめるわけにはいきません。その上パパの仕事が忙しかったりすると24時間ゆっくりできる時間がないのですから疲れが溜まって当然です。

朝ごはんはトーストだったけど、食べかけで赤ちゃんが泣いちゃったのでお昼前までかじりかけのトーストがお皿の上に乗ったままだった、なんてことひとりめの赤ちゃんならあるんじゃないでしょうか。

体調が悪い、疲れている、風邪気味のときは乳腺炎になりやすくなります。パパの協力が得にくいときは、両親や義両親、友人、先輩ママ、ご近所さん、信用できる人に赤ちゃんを見てもらってすこしでもよいので休める方法を見つけましょう。2時間ぐっすりお昼寝できるだけでもぜんぜん違います。

おっぱいをマッサージしたり、授乳前に温めたり、授乳後に冷やしたり、という対処も大切ですが、それに必死になってよけいに疲れてしまうのではなく、できることをしっかりやったら今度はできる限り自分の体を休めてあげることも大切です。

体を冷やさない

授乳後のおっぱいは軽く水をしぼったタオルなどでやさしく冷やしてあげるのがよいのですが、絶対に体全体は冷やしてはいけません。暖かい靴下や部屋履きで足が冷えないように、肩や背中が冷えないように、軽くて暖かいフリースなどのジャケットを着たりして保温します。汗が出るほど厚着をする必要もありませんが、全身が快適な程度に暖かい服装をしてがんばっておっぱいを生産している体の負担を減らしてあげましょう。

お風呂で体を長時間温めない

お風呂自体に入らないほうがよい、という意見もありますし、お風呂でマッサージをしていたらつまりが取れた、という話もあります。わたしはぬるめのお湯で、あまり長時間でなければマッサージがてらのお風呂はオッケーにしています。

お風呂に入る前は下に書いた方法で赤ちゃんにしっかりおっぱいを吸って空にしてもらい、お風呂の中で詰まっている箇所をマッサージします。お風呂から出たらおっぱいは水でしぼったタオルで冷やします。

葛根湯やカモミールティーを飲む

乳腺炎に葛根湯、というのは有名ですが、わたしも実際に飲んでみるまでは舐めていたというか、効果をあまり信用していませんでした。でもおっぱいがおかしいと気づいたときに葛根湯を飲みはじめ、症状が治まるまで飲み続けるのは乳腺炎に効果があったような気がしています。

体質に合わないなどという人はダメですが、問題が無いのなら葛根湯はおすすめです。

葛根湯との飲み合わせがどうか分からないので同時に胃のなかに入らないようにしていますが、日中はわたしは炎症を抑える効果のあるカモミールティーをポットに沸かして飲みます。

高価な乳腺炎ブレンドのハーブティーなどもありますが、普通のカモミールティーでわたしは十分。

予定はすべてキャンセル

いくら大事な予定があっても、キャンセルできる予定は全てキャンセルして体を休ませましょう。おっぱいが少し痛いと感じているのに、放っておいて外出したりすると絶対に悪化します。

特に上のきょだいがいいる場合は無理しがちですが、乳腺炎が悪化したときのことを考えると多少の犠牲を払っても初期の段階で自宅にこもって対処したほうがよいことが多いはずです。

乳腺炎がひどくならないためのおっぱい対処法

わたしが助産師さんからもらったアドバイスとあわせて、おっぱいがおかしいと感じたときに実行していた対処法です。乳腺炎では3回ぐらい高熱がでましたが、毎回病院に行かずに自分で対処して治すことができました。

葛根湯を飲んで体を出来る限り休める

上の内容と重複しますが、おっぱいに痛みを感じる、しこりがある、寒気がする、熱がある、などの異常を感じたらただちに乳腺炎対策として非常事態宣言をして体を休めて対策に集中しましょう。そして葛根湯を飲んで体を冷やさず、暖かい野菜たっぷりのお味噌汁とごはんなど、体を温める食事に切り替えます。

乳腺炎の最強の対策は赤ちゃんの吸う力

慣れた人が上手にやればマッサージが有効ですが、それに上回る力を持つのが赤ちゃんの吸う力。赤ちゃんの力は最強の乳腺炎対策です。

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↑この画像、少々赤ちゃんの加え方が浅いように見えます。

普段よりも赤ちゃんにより深く加えてしっかり吸ってもらうように注意をしながら、吸うポジションをいろいろ変えて赤ちゃんに吸いだしてもらうようにがんばります。それにも少しコツがあります。

授乳前には蒸しタオルと軽いマッサージ

授乳の前に赤ちゃんがお腹をすかせて泣いていたとしても、蒸しタオルでおっぱいを軽く温めます。蒸しタオルは電子レンジで作ってもいいですし、それほど熱い必要もないので、触れる程度に暖かいお湯で絞ったタオルでもかまいません。とにかく楽に出来る方法で。

おっぱいを温めた後は、痛い部分も含めて軽く乳房を底のほうから数回持ち上げるような感じで軽く揉んでからおっぱいを赤ちゃんの口にあわせて上下に潰して、大きく開いた口に乳首をつっこんで吸ってもらいます。

痛い部分に赤ちゃんのアゴがくる方向が大切

普通は痛い箇所、しこりのある場所が自分で特定できると思うのですが、その部分に赤ちゃんのアゴがくるように吸ってもらうとよい、と助産師さんには言われました。とはいえ、同じポジションばかりで授乳するのもあまりよくないので、わたしは主に痛みがアゴの位置と、赤ちゃんの口の左右の広角の位置にくるようにしていろんなポジションで飲ませます。

赤ちゃんが一生懸命飲んでいるときに詰まり部分を軽く圧迫する

赤ちゃんがしっかりおっぱいを口に含んで吸っているときに、しこりや詰まっている乳腺部分を指でそっと押してあげます。人差し指、中指、薬指の3本を使って外側から内側にピアノを弾くように軽く順番に押さえるのを繰り返します。うまくいくとこの方法で一気につまりが解消することもあります。一度で取れなくてもあきらめないでください。その次の授乳で角度を変えても授乳中の指での圧迫を毎回試します。

それ以外にもいろんなポジションでいろんな角度から

角度によっては、どうしても抱っこやたて抱っこ、フットボール抱きでもよい角度で飲んでもらえないことがあります。そういう時は、ソファーやベッドの端に赤ちゃんを寝かせて、体をくっつけて授乳をしたり、お布団の上に赤ちゃんを寝かせて、その上に覆いかぶさるようにして飲んでもらったこともあります。その場合はクッションやお布団などを使って、あまり自分が辛くない体勢を見つけてください。補助のない四つんばいや腕立て伏せ状態だと逆にママの体に負担がかかってしまいます。自分で情けなくなりますが、とにかくなりふり構わずにあらゆる角度から吸ってもらいます。

ポジションは授乳の度ごとに替える

ポジションを変えるのは、1回の授乳のうちに何度も、というのではなく、毎回の授乳のたびにかえるという感じでやっていました。そのポジションでしっかり飲んでおっぱいを空っぽにしてもらうことを心がけます。

トラブルのあるおっぱいが先、だけど逆も少しは飲んでもらう

トラブルのあるほうのおっぱいから先に飲んでもらって、トラブルのないおっぱいは、トラブルのあるおっぱいがすっきり軽くなったと思ったらおやつ的に少しだけ赤ちゃんに飲んでもらっていました。

トラブルのあるおっぱいに集中するあまり、今度は反対がトラブルになってしまっても困りますから、反対側を疎かにしすぎないようにしてください。

自分でマッサージする方法・詰まっている箇所を見つけて搾り出す

授乳が終わったら冷やすのですが、先ずはその前に洗面所ですこしマッサージをします。(猛烈に痛くて触れないぐらいならここで信頼のできる医療機関に相談しましょう。)授乳直後のおっぱいは余計な母乳がなくなっているので、詰まっている箇所が見つけやすいですし、経験からいって授乳前よりも詰まりが取れやすくなっていると思います。

詰まっている乳腺が縦長に固くなっている場合もあるし、スーパーボールが入っているみたいにしこりになっている場合もありますが、その固くなって痛い箇所を乳首方向にマッサージして押し出すようにします。少し痛いですが、我慢はできる程度の痛みです。チューブに入った残り少ない歯磨き粉を搾り出すみたいなイメージです。

乳輪から乳首の部分を軽く押してみると、普段おっぱいが出てくる箇所が分かると思うのですが、詰まっているときは大体、そのうちの1本が閉じて出なくなっています。詰まり部分から乳首方向に力を加えてやると、他の開いた乳腺からは母乳がぴゅーっと出てくるけれど、詰まっている部分はじんわりと変な色(茶色、黄緑色など)の母乳や、ねっとりいた母乳が出てくることが多いです。これが出たら最悪の事態は避けられたと思ってよいと思います。

しこりを押して、そういう風に母乳が出てきたら、そこが乳腺炎の原因箇所です。体の負担を感じない程度にその箇所から母乳を搾り出します。ねっとりした母乳はガーゼなどで出てきたたびにやさしくそっと拭き取ります。

ある程度でなくなったら水を絞ったタオルで数分間乳房全体をやさしく冷やします。その時も、マッサージのときも、暖房の効いた暖かい場所でやるのが理想的です。洗面所やお風呂場がよいですが、寒ければ洗面器を持って暖房の効くお部屋でやってもいいです。少々邪魔になりますが、暖かいフリースなどを着て体を冷やさないようにします。

熱すぎない短めのお風呂でマッサージも効果的

最初にも書きましたが、乳腺炎のときはお風呂NGとする意見もあるようですが、お風呂でマッサージをしていたらつまりが取れたという話もけっこうあるのです。(もちろん高熱が出ている段階までいくとお風呂は無理です。しこりが少し痛いぐらいの時にやってみてください。)

お風呂の温度は寒く感じない程度のぬるめで、授乳の直後に入って湯船の中でマッサージをするのはリラックスできるし、マッサージも楽にできるのでわたしは好きでした。お湯に母乳が入るのは少量なので気にしません。

乳腺炎の時に髪の毛を洗ったりするのはその後のドライヤーなども考えると負担になるので、授乳した後すぐにさっと体を洗って、ぬるい湯船に使って詰まったほうのおっぱいをマッサージして絞っていました。風呂上りには服を来て湯冷めしないようにしてから、水をしぼったタオルでおっぱいを冷やします。

授乳とマッサージが終わったら必ず冷やす

冷やすといっても、アイスノンや保冷材など氷点下のもので冷やしてはいけません。あくまでもやさしく、冷水で絞ったタオルぐらいで十分です。冷蔵庫に袋入り蒟蒻などやわらかくて冷たいものがあれば、それにタオルを巻いて保冷に使ってもかまいません。冷やし続ける必要もありません。授乳とマッサージをした後で、数分も冷やせば十分です。

次に授乳する前にはおっぱいを温めてあげて、授乳とマッサージが終わったら軽く冷やす。とにかくこれをしこりと痛みが解消するまで繰り返します。毎回の授乳が乳腺炎対策の最大の山場です。ひどくならずにマシになってきている間隔があればどこかで詰まりがすっきりととれる可能性は高いので、赤ちゃんと一緒にがんばりましょう。詰まりさえ取れてしまえばウソのようにすぐに体が回復します。

自分でできる対処とできない対処

幸いわたしの場合は乳腺炎で寒気とふるえと高熱が来たようなときでも、しばらくすると詰まり箇所が見つかって、上のような方法で自分で対処することができました。

はじめて乳腺炎になったときは、病院に行って切開の処置を受けた、という知人の話が頭をよぎってパニックになりそうでしたが、いちど自分で、助産師さんの電話でのアドバイスだけで対処できてからは、それが心の支えとなってあわてずに対応できるようになったと思います。

大切なのは異常を感じた時に直ちに対策を実行すること。体を休めること。あまりに痛みがひどい、乳房の皮膚の色がおかしい、体力が落ちている、熱や痛みなどのつらい症状が3日以上続くなど、症状が重くて長い場合は信頼のできる助産師や医院で診察してもらってください。