上の子が公園遊びをする頃になってブランコで乗り物酔いをするようになりました。少しブランコに乗ってゆらゆらと軽く漕いだり揺れたりしただけで頭がクラクラして、子供の頃に乗り物に酔ったときのような気分の悪さが続きます。
それが分かってからはなるべくブランコには乗らないようにしていて、真ん中の子も下の子も最低限しか一緒にブランコに座っただけでした。子供たちはまったくブランコでは酔わないし、わたしだって子供の頃から大人になるまでブランコで乗り物酔いをしたことはありませんでした。
車酔いは特にひどくなったということもなく、とにかくブランコがダメ。乗ってグルグル回るタイプの遊具もダメ。不思議なことにディズニーランドのアトラクション程度の子供でも乗れる程度のジェットコースターやティーカップなどはだいじょうぶなのです。
気がついたらブランコに酔わない
それが末っ子が1歳半ぐらいになったときに、おさまったのです。偶然ブランコに腰掛けて子供を待っているときに気がつきました。ブランコがまた普通にこげるようになっているのです。最初は無意識に少し揺らしてしまったのですが、以前のようなクラクラがない。あら?と思ってもっと勢いをつけて漕いでみたところそれでもまったく平気。あの気持ち悪さがウソのように消えていて、ふつうにブランコが漕げるじゃないですか。
わたしの場合だけなので他の人も同じなのかは分かりませんが、どうやら産後だけに起こる現象だったような気がします。
子供の怪我などで血の気が引く
同じように産後にあった変化で、子供が痛い思いをしたら足の力がふっと抜けるような気分がするようになりました。自分の子供でも他人の子供でも、子供が高いところから落ちたり、思い切り転んだり、頭や足をぶつけたり、それを目にしただけで腰からしたがへなっとしてしまうんです。
もっとひどくなったら映画でご婦人がバタンと倒れるような、卒倒ということになるんだと思いますが、幸いわたしの場合はそこまでひどくはなく、腰から足にかけてぞわぞわとしたものが下に向けて駆け抜けるみたいな感じ。痒いような不思議な感覚が走るんです。自分でこれはなんだろう、と考えていたら出産のときの強い痛み、長時間の陣痛を経験したからかもしれないと思うようになりました。どこかで繋がっているような漠然としたイメージなんですけど何かが似ています。元々出血とか怪我の場面に遭遇してもまったく平気なタイプだし、注射を受けるときはしっかり針が刺さる様子を目で追って確認したいタイプだったので、この自分の変化にはびっくりしました。注射針はその時も見られましたが、手術や怪我の症例写真とかは苦手になりました。血をみて卒倒する人の気持ちがはじめて理解できるような気がしました。
そのゾワゾワの症状もブランコ酔いが直ったのと同時にこちらのほうもマシになりました。いまでも少しだけ残っていますが、痛い場面を目撃しても以前ほど足がへなっとはなりません。怪我の写真なども多少嫌悪感が増しましたが、以前に近い感じでわりと平静に見ることができます。別に無理をしてみる必要もないんですけど肝試し的に見てみたら、ほぼ平気になっていました。赤ちゃんや子供の怪我の症例などは今でも苦手な感じが残っています。
高いところが怖い
友達で以前から少し高所恐怖症気味の人がいるのですが、彼女の場合はその高所恐怖症が母親になってからひどくなったと言います。こちらは産後の期間限定という感じではなく、子供がもう小学生ですが、産後にひどくなった恐怖症がそのまま残っている気がすると話していました。
展望台などは柵があっても絶対に近づかないし、車を運転していて高い橋を渡るときなどもなるべく考えないようにしてすみやかに渡りきれるよう我慢して走るといいます。もちろん高層ビルもダメ。スカイツリーなんて絶対に上らないし、子供にも上ってもらいたくないそうです。
狭いところが怖い、水の多いところが怖い、など他にもいろんな恐怖症の気がある友人たちと話したことがありますが、たいてい年をとってひどくなってきたといいます。子供を産んだから恐怖感が強くなったのか、年齢を重ねたからなのか、そのあたり興味がありますがまわりと話しただけではサンプル数が少なくてわかりません。
産後の母性本能?
ペットなども赤ちゃんを産むと何かが取り付いたようにやたらと気が立ったりすることがありますが、自分もそんな風にいろんな面で子供を産んだことに影響を受けていたんだなと自分で感じるようになりました。3回の妊娠、出産、授乳期が過ぎてみて、今になって自分で気がつくことが沢山あります。
産後の情緒不安定の時期にはさすがにこれはおかしい、と自覚していましたが、内側から湧き出るような感情の変化に、どうにもこうにも太刀打ちできなかった感じ。ハイな状態が続いていて無理をしていた気がする時期もあるし、やたらとピリピリしていた時期もあるし、幸せにどっぶり浸っていた時期も、不安が強い時期も。そして生理が心と体に及ぼす影響の大きさも以前より強く自覚するようになりました。
真っ只中にいるときは自覚はなかったですけど、他人の言動に必要以上に腹が立ったり傷ついたりすることもありました。でもあのときよけいなことを言ってしまわなくてよかった、と思う事が沢山あります。自分で「口はわざわいのもと、人の過ちは目に付くが自分の過ちは見えない」と何度も何度も繰り返していました。オットにはかなり迷惑をかけてしまいましたし、実母にも少し出てしまいましたが、それ以外はあまり迷惑をかけずにすんだと自分では思います。
人間は子供も大人もいろんな事があっていろんな精神状態をいったりきたりしているものだとは思いますが、母親になるということが自分の内面にこんなふうに影響するとは想像もしていませんでした。