セキュリティ・ブランケット(安心毛布)を持つ赤ちゃんと子供

赤ちゃんや小さな子供が常に持ち歩きたがる毛布やタオルやぬいぐるみ。スヌーピーで有名な『ピーナッツ』でライナスがいつも引きずって指しゃぶりをしているので、いわゆる「ライナスの毛布」として有名なセキュリティ・ブランケット。安心毛布ともいわれています。大人になってもそんなぬいぐるみが捨てられずに大事に取ってある、という人も時々いますね。

ぬいぐるみと女の子

うちの子供たち、末っ子はまだ傾向が分かりませんが(追記:安心毛布を持ってゆびしゃぶりのライナスそのものの3歳に成長しています)まんなかの子にはセキュリティ・ブランケットがあって、毎晩それを持って眠ります。お昼寝も夜寝るときもいっしょ。

子供が大きくなってくるとそういう特定のものに執着するのはよくない、という人もいますがわたしはあまり気にしていません。ある程度ルールを作って、時々は洗濯したりしているので、必要ならいつまででも何歳でも持って寝てくれてもいいと思っています。

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安心毛布は悪いものではない

おしゃぶりと同様に1歳、2歳の小さい時期でさえ、セキュリティ・ブランケットや特定のぬいぐるみが手放せないことを否定的に考える方もおられるようです。

安心毛布はお母さんのかわりとか、スキンシップが足りないとか、もっと母乳を与えたほうがよかったからだとか、そういう声も聞いたことがあります。

確かに赤ちゃんの頃の授乳中に顔のまわりにあったものを恋しがっている感じはするけれど、だからといって愛情不足やスキンシップ不足で安心毛布を必要としているとは感じません。

自分の子たちを見ている限り、単純にさわりごこちのいい物、安心する物だからさわっていたい。だからそれが必要な時まではそれでいいんじゃないかな、という気がしてます。

ぬいぐるみと女の子

おしゃぶり同様に外国人の友人たちはセキュリティ・ブランケットに寛容な人が多いです。その地域や年代によっていろんな考え方があるのかもしれませんが、安心毛布を持っているからとお母さんが自分を責める、あるいは誰かに責められる必要はぜんぜんないと思います。

安心毛布使用上のルールを決める

うちの子にとって安心毛布は主に寝るとき、疲れたとき、悲しいとき、痛かったときなどにあると文字通り安心する効果を発揮します。でもなければないで、疲れたら眠るし、絶対になくてはならない物ではありません。

それがないと泣き叫んでどうしようもない、となると大変なので一応1歳ごろからルールを決めています。

  • 汚れたら洗濯をする
  • 泊りがけ以外の日中の外出には持ち歩かない

外に持ち歩くのは落としたり引きずったりするとものすごく汚れるし、普段の外出で持ち歩いて無くして大騒ぎするのが嫌だからです。安心毛布はベッドに持ち込んで顔や鼻口のあたりに当てるので、家の中限定で使ってもけっこう汚れます。風邪を引いたら鼻水もつきやすい。

うちの場合は目立った汚れがなくても1ヶ月も洗わないでいると変なにおいになってくるので時々においをかいで汚れをチェックしています。洗濯はもちろん天気がよくて乾きやすい日を選びます。仕方がないときは乾燥機も使います。

子供がまだ小さいとき、歩けるようになる前(0歳代のあいだ)はお昼寝のために安心毛布を持って出かけて、外出先やベビーカーの中で持たせてあげることもありました。与えておけば泣き喚いたりせずにすんなり寝入ってくれることが多いので重宝してました。これはエルゴのときは無理でしたけど、ベビーカーだとけっこう使えます。歩いている間に落とすと困るので毛布用のクリップで固定してました。

ライナスの毛布は極端な例

セキュリティ・ブランケットというとライナスの毛布といわれるくらいですから、知らない方はライナスのように常に持ち歩くことを想像される方が多いのですが、実際は少し違います。うちの子供がそういうものを必要とするのは、疲れているとき、眠いとき、怒られたり痛かったり病気だったりして不安を感じるときです。

もうすぐ3歳(注:これは第2子)の今でも寝るときには必ず安心毛布を持って眠ります。痛かったり、叱られたときも探します。一時期安心毛布のことを忘れて持たずに寝ていたこともありました。最近はまた毎日持って寝てますが、もって行くのを忘れて寝てしまって、夜中に起きて泣くこともたまにあります。

洗濯中などは別のもので代用してもらえるように、わりと小さな頃から練習しました。はじめの頃はこれじゃ違う、と泣いたりすることもありましたが、洗ってきれいになったら本人も気持ちいいということが分かってしぶしぶ納得してくれるようになりました。

1歳をすぎてからは外出のときは持っていかせていないのですが、それでもだいじょうぶなので、外出先では別の方法で安心を得ているようです。

お母さんがわりの安心できる物?

うちの子供だけでなく、まわりのお子さんでも数人セキュリティ・ブランケットを持っている子供たちを知っていますが、その愛着傾向はみんな似ています。よくお母さんに抱っこされていた赤ちゃんの頃から近くにあったもので、授乳のときに肌に触れていたものが多いようです。

安心毛布の素材は、ガーゼだったり、ウールの毛布だったり、フリースだったり、木綿やアクリルだったり、その子によっていろいろです。形も布だったり、ぬいぐるみだったりしますが、基本は布素材です。セキュリティ・ブランケットとは別に車などのおもちゃに執着する子もいますが、これはまた愛着の種類が違うんじゃないかとわたしは思っています。

セキュリティ・ブランケットを持つ子を見ていると、機嫌の良いときには忘れていたり、それ自体を別のものに見立てたりして遊ぶことが多いのですが、疲れたり悲しいときには頬や口の辺りに当ててふわふわとした感触を楽しんでいるように見えます。匂いをかいでいるようにも見えるし、布を通した空気を吸うのを楽しんでいるようにも見えます。

うちの子の使い方を見る限り、お母さん本人を必要としているわけではなくて、お母さんは安心毛布の代用にはならないような気がしています。実際、安心毛布を必要としているときにかわりにお母さんが抱っこしたり添い寝してもあまり喜んでもらえません。お母さんも悪くはないけど何かが違うみたい。

寝ているときは安心毛布を顔にくっつけながら授乳中のように口をちゅぱちゅぱと定期的に動かしていることがあります。うちの子は3人とも1歳をすぎた頃にあっさりと執着もなく卒乳していますが、2歳半(追記:6歳でも時々やってます)をすぎても寝ながらちゅぱちゅぱとおっぱいを飲んでいたころのような口の動きをやっていることがあります。(だからといってもっと母乳をあげればよかったとはわたしは思いません)

安心毛布がお母さん(安心できる存在)のかわりであることは間違いないと思うのですが、うちの子の場合は必ずしもお母さん本人だったり、お母さん由来の物である必要はないみたいで、むしろ赤ちゃんの頃に安心できた、やわらかい手触りと感触重視かなと。

素材重視の真ん中の子は落ちていた末っ子の服で代用していたこともありました。末っ子はわたしや真ん中の子の脱いだ服が好きです。末っ子は特定の物に執着せず、さわり心地の好きな布ならなんでもいいみたい。(追記:その後特定の布に強い執着ができて指もしゃぶるので本物のライナスみたいです。)特定の物に執着しないのは楽なのですが、洗っていない洗濯物や、洗ってたたんだ洗濯物なども見境なく荒らされるので、それはそれでちょっと困っています。

ある時期がきたら手放せる・・・はず

自分にはそういうものがあった記憶がなかったのですが、オットには執着していたお気に入りのシーツがあったそうです。でもそういわれてみればわたしも小学生くらいまで大好きだったガーゼのシーツがありました。

大人になってからも、わたしは肌触りが好きなシーツ、好きなコットンのシャツなどがあります。必要ないと思っていても、どこかで赤ちゃんの頃にあった温かさ、安心感の幸せな記憶が残っていて、それが身の回りの好きなものになっているのかなと思います。

温かい布団からなかなか出られないのは、自分が胎児の頃に温かいお母さんのお腹の中にいたことを再体験しているから、というようなことを昔読んだ記憶があるのですが、そういう無意識からくる安心感を求める気持ちなんでしょうかね。

それが大人になっても形をかえて身の回りにあるのかもしれません。人間にとっての居心地のいい部屋って結局お母さんのお腹の中に通じるんじゃないかな。あたたかくてふわふわで動きがあってなぜか安心するもの。ペットもそういうところにつながっているのかもって思います。

だから安心毛布も成長とともに別のものに形を変えるんだとわたしは思っています。もしも手放せなかったとしても、うちの子の場合は主に寝るときしか必要じゃないので、それはそれで特に困りません。

20歳をすぎても沢山のぬいぐるみに囲まれて寝ている友人がいたけれど、恋人ができてしばらくしたらぬいぐるみを卒業していましたし。でも結婚してもぬいぐるみと一緒に寝てたって、パートナーがそれでいいならぜんぜんいいと思う。それって家族みんなで一緒に気持ちよく寝てるみたいなものですよね。

(追記:6歳でも安心毛布はまだまだ手放せそうにありません)

執着して困ったことになる前に

実際にセキュリティ・ブランケットを持っている子のなかには、その決まったものでないと眠れない、落ち着かないというお子さんがいると思います。執着の対象が大人用の大きな毛布だったり、かさばるクッションだったり、取り扱いや洗濯に困るものが安心毛布になってしまって大変というケースもありますね。

ある程度執着しそうな気がしたら、生後数ヶ月の小さな赤ちゃんのうちから、洗濯しやすく、持ち運びやすく、代わりが用意しやすいガーゼのタオルなどを授乳のときに肌にふれるようにしてみるとあるていど執着の対象を誘導できるかもしれません。

毛布や布部分の大きなぬいぐるみ(顔つき毛布みたいなもの)が「安心毛布」として売られている商品もあるようです。でもだからといって子供が好んで執着してくれるとは限りません。執着する傾向のある子は、とりあえずお母さんと自分の身近にあるものに執着しますから、大物に執着してしまわないようにある程度気をつけておくことは可能です。

小さな人形やぬいぐるみも持ち運びは便利ですが、小さい分、布の傷みが激しいのと、見つけにくいなどの欠点があります。大きすぎず小さすぎず、散らかった子供部屋でも見つけやすいような物、子供用毛布くらいのサイズですこし目立つ色柄(安心毛布の候補選びも大変!)のものがよいかと思います。

ボタンや目のパーツなど、ぬいぐるみは取れて喉に詰まったりする部分がないか、長い紐などが危なくないかのチェックも必要です。

予備のぬいぐるみ

友人のもうすぐ2歳のお子さんはぬいぐるみに執着しているのですが、現時点ですでに何度も縫い直し、あて布をして修復をしてかなり痛んでしまっています。なので、手に入る今のうちに同じぬいぐるみをもうひとつ購入して、時々取り替えて使っているのだとか。

痛み具合が違うので、最初はすこし嫌な顔をしたり眺め回したりするそうですが、とりあえず平行して使ってもらえているそうです。(追記:この子は3歳半現在、お気に入りのぬいぐるみ3つを使いまわしているそうです。それでもそれぞれが全部ボロボロになってきていて、ママはあとひとつ買おうか悩んでいるそうです。)

安心毛布のお洗濯

ないと眠れない、落ち着かないので、ものすごく汚いのに洗濯させてもらえない、という話しも時々ありま す。うちは汚れてしまったときは子供には代わりのもので我慢しても らって洗濯をします。子供はもちろん嫌がりますが、汚れてくさくなっちゃうから、洗ったらまたいいにおいになるから、と言うとしぶしぶですけどあきらめます。

これは胃腸炎で嘔吐したときに汚れた安心毛布を無理やり洗って以来、どうしようもなく汚いときは嫌がっても絶対に洗う必要を親も子も感じたからです。洗濯することを考えると、安心毛布は、ぬいぐるみやクッションなど洗濯が面倒で乾きにくい物でなく、普通に他の洗濯物と一緒に洗えて乾きやすいものが理想です。

洗濯時の代用も慣れるとわりとスムーズですから、不安が強くて特に安心毛布を必要とする病気のとき(嘔吐して汚れたとき)にいきなり取り上げて洗濯するよりも、体調のよいときに練習として時々やっておくのがよいという考えです。

大好きな安心毛布のかわりに子供がいやいやでも代理の安心毛布として受け入れてくれる品があると、親としても安心です。