ベビー用浮き輪(スイマーバ等)の浴槽の使用、2012年以降の事故具体例と注意喚起

はじめに断っておきますがわたしは首につけるベビー用の浮き輪なるものが苦手。湯船に浮いている赤ちゃんを見るのが怖いです。高いつり橋の上をよちよち歩きの子が歩いているのと同じような感じに見えてしまいます。プールで親子一緒に遊ぶために使うならいいけれど、狭くて浅いお風呂でひとりで浮かせるのは心配。

上の子の赤ちゃんの頃だったか、真ん中だったか確かではありませんが、あちこちのブログでスイマーバをつけて風呂に浮く赤ちゃんの写真が掲載されていた時期がありました。ものすごく流行っていたのです。でも自分もやってみたいと思ったことは一度もありません。わたしにはいつおぼれるか待ってるように見えてしまって怖くてドキドキします。

わたしの場合は自分が幼児の頃にお風呂で溺れたことがあり、本当に軽く恐怖症が入っているから怖いのですが、実際にも事故はけっこう起こっていて、昨年は浴室で使用するベビー用の浮き輪に2度目の注意喚起が出されました。

ベビー用浮き輪の元々の用途や、事故の具体例などをまとめてみました。正しいとされる使い方はもちろんですが、事故の具体例と注意喚起はぜひ知っていただきたいです。

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スイマーバはもともと風呂で使うものじゃない

最初からベビー用浮き輪が苦手と書いていますが、それは日本で主流の風呂で使うスイマーバのこと。もともと首につけるタイプの赤ちゃん用の浮き輪はベビースイミングが盛んな海外で、親が小さな赤ちゃんをプールで泳がせる(浮かせる)時に使われる物でした。海外発、赤ちゃんのエクササイズ用浮き輪とか書かれているのも目にしたことがありますが、そうだとしても狭くて浅くてしかもお湯のお風呂用に開発されたものではありません。

海外なら自宅の庭にプールがある家庭だってあるし、産後は親が育児休暇を取って赤ちゃんと楽しく過ごし、プールに行って泳いだりする国もあります。だからこの浮き輪は本来、風呂で使うものではなく、目を離すことを前提にしていません。そんなことをしたら赤ちゃんの虐待だ、などと言われて大問題になるかもしれません。

パパの帰りが遅くて赤ちゃんとふたりきりの日本のママたちが、シャンプーしている間この浮き輪に入れておけば便利、浮かせている間にちょっと服を着たりして用事をすませてくるわね、なんていう信じられない使い方をして重大事故が起こるようになったのです。(メーカーは使用中は絶対に目を離さないこと、お座りのできない赤ちゃんは着脱もふたりがかりで行うこと、と書いています。)

すごく流行ってみんな使ってる=安全、ではありません

国民生活センターの注意喚起にも書かれていますが、赤ちゃんのスイマーバ写真は人気ブロガーも飛びついて、個人ブログに次々に写真を掲載したことで広がりました。スイマーバでぷかぷか浮かばされ、写真を公開されている赤ちゃん写真は今もウェブ上に溢れています。ニコニコとご機嫌で水に浮くかわいい赤ちゃん。だからといって使用上の注意を無視して適当に使って安全という訳ではありません。

使いたいという方はぜひスイマーバの使い方(公式)を最初から最後まで見てみてください。何が書かれているかきちんと確認してください。

装着の仕方から、水温、水位に至るまでとても細かく書かれていて、自分が入る風呂に普通にポンと入れて浮かせて待たせておける感じではないのだということがよくわかると思います。

国民生活センターや自治体からの注意喚起

一度目の注意喚起が2012年7月に出されたにもかかわらず、2014年7月までに6件の事故が起こっています。この6件のなかに死亡事故はありませんが、1人は重態(人口呼吸、植物状態)と報告書に記載されています。

これはいずれも病院にかかり、入院するような例なので、報告に上がっていないもっと軽い事故の事例がもっとたくさんあると思われます。2年あけてまた注意喚起が出されたということは、引き続き事故が起こっているからです。メーカーが機能を改善しても、ほんの少しでも赤ちゃんを風呂に浮かせたまま目をはなすような使い方ができる物じゃない。

そもそも注意書きに目を離すなと書いてあります。たった10cmの水深で、自分で立てるようになった子供でも溺死することがあるのに、生後数ヶ月のおすわりもできないような赤ちゃんを浴槽につけて目を離したらどれほど危険なのかを知ってください。

下に書かれていますが、たった5分です。5分間鼻と口が水に漬かった状態になると極めて重い障害が残る可能性がある、と警告されています。

ご注意ください!浴槽での首掛け式浮き輪の事故

消費者庁及び国民生活センターは、首掛け式の乳幼児用浮き輪を浴槽で使用した際に溺水したなどの事故情報が寄せられたことから、平成24年7月27日に、使用の際は乳幼児から目を離さないようにするなどの注意喚起を行いました。

しかし、この注意喚起の後も同様の事故が、消費者庁に報告されています。

四条畷市公式ページ: http://www.city.shijonawate.lg.jp/iryo_fukushi/kyukyuiryokikan/1414148519841.html

気を付けて、浴槽での首掛け式浮き輪の事故!!-赤ちゃんは御機嫌でも一瞬も目を離してはいけません-

 平成24年7月27日、消費者庁と国民生活センターは、首掛け式の乳幼児用浮き輪(以下「首浮き輪」といいます)を浴槽で使用した際に溺水したなどの事故情報が寄せられたことから、使用の際は乳幼児から目を離さないようにするなどの注意喚起を行いました。

しかし、この公表後も同種の事故が6件、消費者庁に寄せられました。

実際、首浮き輪を使って入浴している乳幼児は、楽しそうに見え、保護者も安心して、つい、自らの洗髪等別の作業をして目を離してしまいがちです。また、一人で乳幼児をお風呂に入れる際に、首浮き輪を使うと便利等との使用者の感想が個人のブログ等で見られますが、安心しないでください。鼻と口が水に浸かった状態が5分以上続けば、極めて重症度が高い傷害が残ることがあります。

乳幼児を入浴させる際は、例え御機嫌でも、保護者の皆さんは一瞬でも乳幼児から目を離してはいけません。

国民生活センター: http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20141009_1.html

実際の事故の例

国民生活センターが2014年10月に改めて出した注意喚起のページに報告書が添えられていて、スイマーバ(名前は伏せられていますがあえて書きます)の事故の具体例が報告されています。あえてそのまま引用させていただきます。

気を付けて、浴槽での首掛け式浮き輪の事故!!- 赤ちゃんは御機嫌でも一瞬も目を離してはいけません -
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20141009_1.pdf

【事例1】空気は7割くらい入れて使っていた

自宅の浴室で、子ども(4か月)に首浮き輪を付けて子どもだけを浴槽に入れていた。首浮き輪は、上下のベルトをはめて、空気は7割程度入れた状態だった。母親はミルクの準備をし、トイレを使用後に浴室に戻ってみると、子どもが首浮き輪から抜け、うつ伏せになって浮かんでいた。首浮き輪の上下のベルトは外れていなかった。子どもを引き上げると、全身は紫色で、目は見開いており動かなかった。胸を数回押すと口から水が出て、やがて声を出して泣き始めたが、救急車を呼んだ。3 日間入院後、退院。最近、子どもが顎をずらして首浮き輪の内側の縁をモグモグしている様子が見られ、その都度、顎を浮き輪に乗せるようにしていた。今回のお湯の深さは35 ㎝で、子どものつま先が浴槽の底につく深さであった。
(事故発生月、平成24年10月、4か月、女児)

【事例2】母親が洗髪中に鼻が塞がった状態になった

母親と入浴中、子どもは首浮き輪をつけて一人で湯船に入り遊んでいた。母親は洗髪で目を離していた。1、2分で音が聞こえなくなり、見たところ顔面のチアノーゼが確認され、便を漏らしていた。首浮き輪で鼻が閉塞し、口は水面下にある状態だった。首浮き輪のベルトは締めていたが、やや空気が抜け気味だった。背部を叩打し、2分ほどで白色のものを嘔吐し意識が回復、10 分ほどで顔色も回復した。夜間救急センターを受診し、経過観察を目的に紹介入院となった。呼吸状態、血液検査、胸部レントゲン写真とも問題なく、軽快退院した。 3
使用した首浮き輪は、実物を持参していただき、小児科学会および消費者庁の報告と同一のものであることを確認した。
(事故発生月、平成24年11月、6か月、女児)

【事例3】おむつ等の準備のため、1分ぐらい、浴室を出た

首浮き輪を付けた子ども(6か月)を浴槽に入れたままで、この日に限って衣服やおむつの準備をするため1分ぐらい、浴室を出た。浴室に戻ると、子どもがうつ伏せ状態で底に沈んでおり、首浮き輪はベルトが付いたまま浮いていた。すぐに抱き上げ救急車を呼んだ。1週間入院し退院した。
周囲の母親から便利だと聞いて生後1か月頃から使い始めた。最近、夫から首浮き輪がフワフワなので、空気を入れておいたほうがよいと言われていたが、子どもの首が太くなりこのくらいが苦しくなくてちょうど良いと思い、そのまま使用していた。自分も夫も首浮き輪についての以前の公表は知らず、また、使用しているとき、子どもが楽しそうに喜んでいるので、危険な状況になり得るという認識はなかった。
(事故発生月、平成26年7月、6か月、男児)

【事例4】ミルクの準備のため2分位、浴室を出た

浴槽に30センチ湯を張り、子ども(8か月)に首浮き輪を付けてお風呂に入っていた。母親がミルクを作るため浴室を出て、2分後位に戻ると、浮き輪が外れて子どもが仰向けの状態で底に沈んでいた。慌てて取り上げても泣かず、目は開いているが顔色は悪かった。救急隊が着いた頃に泣き出し、病院に着いた頃には顔色もよく、異常なく即日退院。
(事故発生月、平成26年7月、8か月、女児)

ふたりきりの時に風呂に入れる方法

ふたりきりなのにどうやって赤ちゃんをお風呂に入れたらいいの!?とか思う人がもしかしたらいるのかもしれません。赤ちゃんを洗うのにも、自分が風呂に入って髪を洗うのに、なにも赤ちゃんを湯船に浮かべる必要はありません。無理に赤ちゃんと一緒に自分も風呂に入らなくても、別々にお風呂にすればよいのです。

小さな赤ちゃんなら台所やお風呂の洗い場でベビーバスに湯をはって入れればいい。どうしても赤ちゃんとお風呂に入りたいなら、パパがいるとか、おじいちゃんおばあちゃんがいるとか、他に手伝いの大人がいる時に手伝ってもらってお風呂に入れば、赤ちゃんとゆっくり湯船につかれば自分もリラックスして赤ちゃんとお風呂に入れます。

でも手伝ってくれる大人がいなければ無理をして一緒に入浴する必要なんてありません。湯船につかる習慣のない国だってあるわけですから、赤ちゃんが毎日大人と一緒に湯船に入って入浴できなくても悪影響もないし、病気になるわけでもありません。

ひとりの時に赤ちゃんのお風呂に入れないといけないときは、無理に一緒に入浴しようと思わないで、自分は入らずに赤ちゃんだけ入浴させて、赤ちゃんが眠ったら安全なところに寝かせて自分はゆっくりシャワーするなり湯船につかります。赤ちゃんが気になるならベビーフォンを使ってもいいと思います。特に問題がなければ30分~1時間ぐらい赤ちゃんがぐっすり眠る時間はあるはずです。

安全対策をしたベビーベッドは便利

ベビーベッドも使い方をまちがえると危険なこともありますが、よけいなオモチャを入れない、新生児期を過ぎて寝返りができるようになったらマットレスの高さを下まで下ろすなど、きちんと安全対策をしておけば、起きている状態でベビーベッドに寝かせておいても安全です。こればかりは住宅事情にもよりますが、ベビーベッドを置く十分なスペースがある家ならベビーベッドはおススメです。

チャイルドシートも安全に寝かせておける

新生児期も、その後も、車につけるベビー用のチャイルドシートも使えます。お風呂に入りたいと思ったら、寝そうになった時にチャイルドシートに寝かせてシートベルトをしてそのまま寝かせ、熟睡したらチャイルドシートごと脱衣場に連れて行って、自分は風呂に入ればよいのです。

うちの子はベビーベッドで寝てくれる事が多かったのでやりませんでしたが、友達の家で一緒に食事のときとか、バウンサーがわりにチャイルドシートを使っていました。寝返りをして動けるようになった後の赤ちゃんはいくら寝ていても床に寝かせているとどこに移動して何をするか分かりません。ハイハイ以降もどこで何をするか分からないので危ないです。そんな時に目が覚めても自分で抜け出せない赤ちゃん用のチャイルドシートは便利です。

使いたいならメーカーの使用上の注意を守る

写真を見るだけで怖いぐらいなので、自分ではこのようなベビー用浮き輪を使おうと思った事もないし、友人から勧められても、タダでもらっても、大好きな女優さんとかあこがれの人が使っていてもぜったいに自分の子に風呂で使うことはないと思います。

人様が自分のお子様に使うのを止めたいという気持ちもありません。ただ、注意喚起が出た以降にもまだ事故が起こっていて、2度目の注意喚起が出されたので記事にしたいと思いました。

ベビー用浮き輪を楽しく安全に使っている方は、引き続き楽しく安全にお楽しみください。