英語を習い始める時期は早ければ早いほどいい?

自分が英語で苦労したから、子供は英語で苦労をさせたくない。受験に英語は大切だし、これからの時代英語ぐらい話せないと。英語の早期教育に力を入れている方の中には、そんな思いで小さなお子さんに英語を習わせる人が多いんじゃないかと思います。

知り合いのご夫婦でもそういう方がいて、まだ1歳代(!)の小さいうちから必死でいろんな教材をやらせています。あまりに必死なので「もっと大きくなってから別の方法で英語を習得させたらいいんじゃない?」と言いたいんだけど言えません。わたしは1歳の子にイライラしながら教材で勉強させるなんて、かわいい時期の子供との時間が勿体無い気がします。

英語を話す環境にない子供に英語(外国語)を勉強させるのは早ければ早いほうがよい、というのは必ずしもあてはまらないと思います。

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小さいうちから英語を習わせることのナンセンス

外国語の習得には小さければ小さいほどいい、というのはある意味では正しいと思いますが、自然に英語(外国語)にふれるような環境にいない子の場合、小さい頃から子供に英語を習わせ始めた場合のデメリットというものも存在します。それは、、、

習うのをやめてしまえばきれいすっかり忘れてしまう

ということ。つまり、1歳、2歳、3歳でネイティブの先生に習えば立派にネイティブの発音で英語をしゃべるけど、その後習うのをやめてしまえば何にも残らない。ほんとうにまったく何も残りません。覚えるのも早ければ忘れるのも早いです。

7歳8歳くらいまで外国に住んで英語を話していた子供だって、その後日本語だけの環境にいればきれいさっぱり英語を忘れてしまいます。帰国子女でも本当にきれいさっぱり忘れてしまうんですよ。

子供の語学習得に大切なのはその言語を使い続け、学習し続けることです。

何歳くらいまでならネイティブのようになれるのか

わたしの知っている人たちを見ていると、多少の個人差はありますが、5歳くらいまでに外国語を話し始めればまだ耳が良いのできれいな発音で話せます。7、8歳でも若干訛りや文法の誤りが残ったりするけどほぼネイティブのようになれます。10歳を過ぎるとだいぶ難しくなってきますし、個人差が出てきます。

ただしそれは外国に住んで現地校に通うなど、その言葉の環境にどっぷり入って語学を勉強したときの話。週に2回、1時間程度の授業だけで語学を習得するのは、よほどの才能があって、自分でも(子供の場合は親子一緒に)すごい努力をしない限りは無理です。

必要がないから話せない

子供に英語を習わせても実際に子供本人が英語の必要を感じなければどこかの時点で子供は英語に対する興味を失います。はじめたからには辞めたら忘れてしまうから辞めさせられない英語のお勉強。

これがビジネスとしていかにおいしいか分かりますよね。つまり英語教育関係で儲けている人たちにとっては子供に英語を勉強させるのは、「早ければ早いほどいい」んです。

2歳や3歳、早い方は1歳から高いレッスン代を出したり高額な教材を買って子供に英語を習わせたりする方。お金はいくらでもあるという環境ならそれでもいいのかもしれません。でも苦しいなら、それがストレスになるのなら、まだ英語を習わせる必要はないと思います。

お金があっても、そんなに英語が大事なら、そのお金で毎年夏休み1ヶ月を英語圏で過ごしてみる、将来1年まとめて留学させるなどに使ったほうが英語の習得には効果が高いでしょう。

子供が遊び感覚で楽しく英語を勉強してくれるならよいと思うのですが、そうではなくて辛いのならば5歳くらいまでは英語のお勉強なんてさせなくていいと思います。日本で育つ日本人、つまり英語の必要がない子に3歳前から英語の勉強を勧めるようなスクールや教材は儲け主義です。

自分ができないから子供だけは、という気持ちで早ければ早いほどよいと思いがちかもしれません。雑誌や広告でもそんな心理につけこむような文句を目にすることがあります。それで高いお金を払って親子でストレスを貯めるのはもったいないと思いませんか。

大人でもやる気次第で語学は習得できる

大人になってから外国語を習得すると、発音はネイティブのようには絶対にならないし、文法にも間違いが残ることが多いです。文章を書いても間違えだらけになったりします。それでも母国語のレベルさえしっかりとしている人であれば、大人でも外国語の習得は可能です。もちろん才能や努力、勉強方法にも左右されますが、子供のときにやらなかったからといって手遅れではありません。

母国語の基礎をしっかり身につけることが大事

英語の教育にこだわりすぎるあまり、親もお子さんも日本語をおろそかにする方が時々います。そういうお子さんは英語はある程度出来ても日本語が苦手だったりします。それなのに英語のレベルもネイティブにはほど遠い。それがどれほど将来困ったことになるか分かるでしょうか?

日本語という言語の習得もあたりまえではないのです。2歳~5歳くらいの子供の言語学習の速度は大人にはとても真似できません。一度聞けばたくさんの言葉や文章をそのまま覚えて自分でも使うようになります。日本人だから自然に日本語はできる、と考えている方が多いと思いますが、日々日本語に触れているからできるのです。

日本語を遊びながらどんどん学習するべき幼児期に、多すぎる時間を外国語に当ててしまえば、日本語のレベルが下がるのも当然。日本語を母国語としているならまずは幼児期に絵本や読み聞かせで沢山のきれいな日本語に触れさせてあげることがその後の日本語の基礎になるとわたしは考えています。

近い将来移住するとか、親が外国人とかいう特殊な環境でなければ、まずは年齢相応の母国語(日本語)をしっかり身につけさせてあげて、経済的に余裕があるなら小さいうちはお遊び感覚で週に2度くらい英語教室に通わせるとか、おうちで英語の歌やオモチャで英語に触れさせてあげるくらいでいいんじゃないでしょうか。

大人でも本気で外国語を習得しようと思えばある程度のレベルまでは習得できます。(覚えなければ生きていけないくらいの覚悟で勉強すればの話ですが。)イライラしながら小さなお子さんに英語を勉強させている方、もうすこし大きくなってからでも英語の習得は可能です。

子供がお母さんやお父さんと楽しく過ごして、その中で一生の語学能力の土台となる日本語の基礎をしっかり身につけさせてあげることも大切だと思いませんか?将来習得する外国語が母国語のレベルを超えることは絶対にありません。母国語で考えられないことが外国語で考えられるわけがありません。だからこそ日本語でしっかり考えて読み書きする能力はとても大切です。

どうしても乳幼児から英語を取り入れたいなら

家計に余裕があるのであれば、週に1回や2回で英語教室に行くのもよいかもしれません。そうでないのであれば、家で英語の歌を聞かせる、テレビの英語番組を見せるぐらいでも小さな子供は英語に触れて楽しむことができます。

英語だけでなく、イタリア語でも、フランス語でも、2歳、3歳ぐらいの子供は聞いたとおりに上手に真似をして歌ったりすることがあります。耳が良くて聞き取れるし、発音も上手に真似をします。

大切なのは、遊びの一環として英語を取り入れてあげること。変にお勉強として小さなうちから英語をやらせて、英語自体に嫌なイメージを持ってしまうことだけは避けてあげたいですね。